CHALLENGE PLAZA

オフィスの再定義に挑む。「アート× One-Bo」で描く、少し先の未来のオフィス

プラザクリエイトでは、2021年1月にリリースした「One-Bo」を中心に、少し先の未来のオフィス空間の提案をしています。コロナ禍でワークスタイルが多様化する中、オフィスをより機能的なものへと再定義すべく立ち上がったプロジェクト第一弾は、アートを通して社会課題に向き合う2社とのコラボレーション企画。現代におけるアートの役割、そして「アート×One-Bo」がもたらすオフィス機能とは? 5月末に行った記念イベントから、ハイライトをお届けします。

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【登壇者】 ※ 左から順

新谷 隼人(しんたに はやと)
株式会社プラザクリエイト常務取締役、ソウゾウ事業本部長。1986年、大阪府生まれ。広告代理店で営業を経験の後、株式会社リクルートに転職。リテール新規開発グループやカスタマーサクセス領域にてマネージャーを担当。1年目から3年連続でMVPを達成、リクルートの全社表彰であるリクルートライフスタイルアワードを受賞している。2019年にプラザクリエイトへ入社、2021年6月末より本社取締役に就任。未来のプラザクリエイトの新たな事業の創造と既存事業の立て直しの両輪を担う。
吉田 勇也(よしだ ゆうや)
株式会社HARTi代表取締役CEO。1995年、広島県生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。大学在学中、英国・ウェストミンスター大学でアートマーケティングを専攻。2019年、「感性が巡る経済を創る」をビジョンに掲げ、HARTiを創業。現代アーティストのプロダクション事業を展開し、創業5ヶ月で東洋経済「すごいベンチャー100」に掲載。2020年、「Plug and Play Japan」の「Brand&Retail」にてAward受賞。「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」 受賞。
松田 崇弥(まつだ たかや)
株式会社ヘラルボニー代表取締役社長・CEO、クリエイティブ統括。1991年、岩手県生まれ。小山薫堂率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズのプランナーを経て双子の松田文登と共にヘラルボニーを設立。2018年、「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験ユニットを通じて、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

コミュニティの形成や価値観の変動をうながし、社会を変えるアートの力

新谷 隼人氏(以下、新谷):プラザクリエイトの新谷です。まずはじめに、アートという文脈で起業したきっかけを教えていただけたらと思います。

吉田 勇也氏(以下、吉田):HARTiの吉田です。起業の原体験はロンドン留学でアートのパワーに触れたことにあります。もともと、地元である広島から学校や遊園地が消え、楽しい思い出までもが無に帰していく虚しさを感じたことから、街づくりに興味をもっていて。大学卒業後にロンドンに留学したんです。渡英して目の当たりにしたのは、人種も宗教もちがう人たちがアートを中心にコミュニティを形成している姿。どれだけバックグラウンドがちがっても、アートや美には、みんなが共感し、人が集まってくる。これが本当の都市のあり方であり、多様性だと感じました。

一方、日本では気軽にアートを楽しむ文化は確立しておらず、そもそもアーティストがアートだけで生計を立てるのはむずかしい現実があります。そこで、まずはアーティストが企業等とコラボレーションすることで販路を開拓できる基盤をつくりたいと考え、プロダクション事業をはじめました。事業を通じ、ロンドンで見たような、個性や感性が社会に溶け込むウェルビーイングな社会を目指したいたですね。

松田 崇弥氏(以下、松田):ヘラルボニーの松田です。僕の場合、起業の原点は「知的障害のある方へのイメージを変えていきたい」という個人的な想いです。兄が重度の知的障害があり、偏見の目で見られることへのもどかしさを抱えていました。

知的障害のある方は、強いこだわりをもっている傾向があり、それが個性としてアートにも現れてくるんです。障害があるからこそ描ける、特別な世界がある。ただ、いくら素敵な作品を描いていても、社会とのつながりがなければ、その才能や価値は埋もれたままです。それではもったいないので、当社が社会との接点になれたらと思っています。

現在は、日本全国の福祉施設で活動をしているアーティストとライセンス契約を結び、さまざまなブランドに展開させる事業をしています。「障害者」でなく「アーティスト」と呼ばれる社会にしていきたい。アートには偏見や差別を変える力があると信じています。

アートを通じて、自己のアイデンティティに触れる

新谷:僕自身、今回のコロナ禍でアートに触れ、本当の豊かさってなんだろう、とあらためて考える機会が増えました。そこでお二人に、「アートの価値とはなにか」をお聞きしたいです。

吉田:「自分の価値観を見つめ直す」のがアートの価値だと思います。アートは、自分の価値観を鏡のように問いただしてくれるものではないでしょうか。アートに触れると、直感的に自分の好き、嫌いがわかると思うんです。アートを通して自分の軸が言語化され、浮き彫りになる。


  
松田:僕は、「カテゴライズの解放」だと思っていて。自分のアイデンティティを考えるとき、人は無意識のうちに性別や国籍、障害の有無などのカテゴライズをしていますよね。でも、アートに触れているときは人種も性別も関係ない。アートの価値は、私たちのアイデンティティを縛る、あらゆるカテゴライズから解放してくれることにあるのではないでしょうか。

アートの役割は「目的」から「手段」へ

新谷:続いて、「なぜ、いまアートが注目されるのか」について考えてみます。近年、「アート思考」という言葉が注目を集めるなど、ビジネスのあらゆる領域でアートが染み出していると感じていて。このようにビジネスの文脈でアートが注目されるようになった背景について、お二人はどうお考えですか?

吉田:モノが差別化できなくなったことが大きいと思います。マスに生産できて、安く手に入る時代、差別化がますますむずかしくなりました。そこに「手段としてのアート」が出てきた。たとえば、アートがブランディングや集客に一役買うなど、目的を達成するための手段となっているんです。

従来は、一部の富裕層がお金を払って美術品を楽しむ「目的としてのアート」が一般的でした。でも近年では「アートは一部の人だけのもの」という概念が崩れ、よりビジネスの世界にも開かれているのだと思います。

松田:僕は、アートがビジネスの文脈で注目されているのは、「個」の力が重視される時代になってきたからだと考えています。雇用形態もフリーランスなど、以前より自由になり、個人の力で生きていく人が増えている。「模倣して再生産できない個」に注目が集まるフェーズだからこそ、個性が際立つアートに関心が集まっていると感じます。

オフィスは企業の存在価値を表明する空間

新谷:続いてのテーマは「オフィスにとって機能するアートとは」です。「One-Bo」のように、オフィスにアートが入ってくる時代の流れについてはどのようにお考えでしょうか。

松田:企業がなんのために存在しているのか、社会に意義を示す文脈でアートが出てくるのかなと思います。個人がアートを所有するのは、その人がなにを好きか、どんな人かを伝える意味合いがありますよね。企業がアートをコレクションするのも同じで、「One-Bo」のようなプロダクトを軸に、どんな企業でいたいのかを表明していくのかなと。

新谷:松田さんがおっしゃるように、いまオフィスは単に作業する場所というより、その企業の価値観やブランドを象徴する空間という位置づけになりつつあると思います。オフィスにアートをひとつの要素として入れていくことで、オフィス空間は画一的にならず、多様性に満ちていく。そんな空間で生まれたアイデアや新しい取り組みは、社会をよりよい方向に動かしてくれるのではないでしょうか。

吉田:アートがオフィスに入ることで、採用にも役立つと思うんです。自社の企業理念がなかなか言語だけで伝えられないときに、アートの力を借りて右脳に訴えることができます。感性の部分で共鳴するメンバーを採用することでミスマッチを防ぐという、画期的な手段になるのではないかなと。

松田:ちなみに、オフィスへのアート導入がよいシナジーを生んでいる先進的な企業として、パナソニックさんはオフィスのインテリアをすべて当社のプロダクトで統一してくださっています。来社されたお客様が商談前にインテリアを楽しめるよう、受付で招待状のようなものを渡しているんです。企業のダイバーシティ&インクルージョンをアートを通じて体現されているなと感じて嬉しくなりました。

また、社員さんがアートの前で写真を撮って盛り上がってくれているのを見ると、アートは社内のインナーコミュニケーションにも役立っていると感じます。

作品ができるまでの物語も楽しんでほしい

新谷:いままでの「One-Bo」も利便性の追求という意味では好評をいただいていましたが、より付加価値をつけるため、2社に協力いただき、アートプロジェクトを始動することになりました。お二人から、プロジェクトに参加いただいたアーティストさんのご紹介をいただけますでしょうか。

吉田:HARTiからは、書道家・武田双雲さんと画家・大橋澪さんにご参加いただいています。デザイン性はもちろん、アーティスト自身にメッセージ性がある方に協力いただきました。武田さんは非常に前衛的で、ポジティブな言霊を持っている方。大橋さんはオフィスで働いていた経験があるので、オフィス空間に調和するインテリアを自分ごととしてデザインできる方です。

松田:ヘラルボニーから参加したアーティストさんは、重度の知的障害がある方々で、とてもこだわりが強いんです。たとえば、とあるアーティストさんはサクラクレパスのカスを丸めたものをコレクションしていて、カスを集めるための副産物として作品をつくっています。また別のアーティストさんは、迷路が大好き。迷路への愛が作品にも出ていて、網目模様がつながっているような独特の作品を生み出しているんです。

オフィスに設置する際には、こうした作品が出来上がるまでの物語もアイスブレイクとして楽しんでいただけるのではないかと思います。

新谷:個性溢れるアーティストの方々の力を借りて、「One-Bo」がクリエイティビティを刺激するオフィス空間をつくっていけたらいいなと思います。これからもさまざまなアーティストさんとコラボレーションしていきたいですね。

「アート×ビジネス」が企業にポジティブな影響をもたらしていく

新谷:最後に、「One-Boとアートが組み合わさることで一番期待したい変化」について議論を深めていければと思います。松田さん、いかがでしょうか。

松田:当社のアーティストさんの作品がオフィス空間の一部として広がることで、障害を知るきっかけにつながればと思います。そして、企業の障害者雇用が飛躍的に進んだら嬉しいですね。

吉田:大きな話になりますが、企業のイノベーションが加速していくことを期待してます。まだまだ企業が美術品を購入するのはハードルが高いと思いますが、機能性も兼ね備えた「One-Bo」なら、より気軽に取り入れることができます。まずはOne-Boからアートに触れ、その先で今度は作品を購入する、といった新しい流れができたらいいですね。

新谷:新型コロナウイルスが収束したら、「One-Bo」を使ったアートギャラリーを作ってみたいと考えています。ヘラルボニーさんやHARTiさんも、地域のアーティストさんを集めて一緒にやられていると思うので、地域に根ざした企業とのコラボイベントを開催するのもよいですね。

松田:そうですね。地域のアーティストさんが地域企業と組めば、相性もよいですし。

吉田:やはりリアルでしか感じられないものもあると思うので、体験型のギャラリーはぜひやりたいですね。

松田:「One-Bo」は可動式なので、どこでもできそうですね!

吉田:クリエイティブな業界の方々にはもちろん刺さりやすいと思うんですが、ぜひ伝統的な昔ながらの企業にこそ導入いただき、「One-Bo」をきっかけにアートを楽しんでもらえたら嬉しいです。

新谷:このプロジェクトを日本全国に広げたいと思っているんです。美術館などでアートに触れる機会が多い東京と比べて、地方都市はアートへのハードルがまだまだ高いのではないでしょうか。そういった地方都市にこそ、「One-Bo」を通してアートに触れてもらい、より身近にアートを楽しんでもらえたらと思います。

「アート×One-Bo」プロジェクトを通じて、社会をよりよい方向へ進められると確信しています。みなさんと一緒に活動を盛り上げていけたら嬉しいです。引き続き、よろしくお願いいたします!

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