CHALLENGE PLAZA

工場からイノベーション!ファンが選んだ推しの写真でつくる「ファンブック」誕生秘話

プラザクリエイトの和光プリントセンターでは、写真をはじめ、フォトブックやTシャツなどを印刷しています。この工場でプリントの新たな価値を追求し続けるのは、生産管理部の松元、生産部の松江ペア。「受注を待つだけでなく、需要があるところにプリントの価値を掛け合わせていきたい」との想いから、2020年9月、社内スタートアップとして新規ビジネスの創出に着手。試行錯誤の末にたどりついた「ファンブック」誕生までの道のりとは? お話を聞きました。

松元 優一(まつもと ゆういち)
2010年に中途入社。現在はソウゾウ事業本部 プロダクト生産部の部長として和光プリントセンターをリード。前職で培った営業スキルやシステム構築の経験を活かし、商品管理から営業まで、幅広く担う。趣味は、釣りやキャンプ、バイクいじり。最近の休日は、子供と一緒に鉄道の写真を撮りに出かけている。
松江 優一(まつえ ゆういち)
2020年4月に中途入社し、Tシャツやフォトブックなどオリジナルグッズの生産管理、新規営業を担う。前職ではプリントメーカーにて、お菓子メーカ―への営業、パッケージデザインを行っていた。IllustratorやPhotoshopを使ってのデザインに加え、手書きのイラストも得意。そのクオリティはプロ並みと評判。最近のブームは、自作イラストをTikTokへ投稿すること。

※掲載されている情報は、公開日2021年7月28日時点のものとなります。

発想の転換で生まれた、オンデマンドプリントが活きる世界に1つだけのファンブック

――最初に、二人が熱量を込めてつくった「ファンブック」について教えてください

簡単に言うと、ファン自身が編集長になれる写真集ですね。スポーツチームを例にとってお話をすると、チームがもっているプロが撮った写真の中から、ファンはオンライン上で自分の好きな写真をピックアップし、どのページになんの写真を印刷するか決めることができます。そして、お気に入りショットだけが詰まったオリジナル写真集を発注できるんです。

スポーツチームや芸能事務所は、所属するスターの写真をたくさんもっているものの、SNSにアップする以外に、ファンに写真を楽しんでもらう機会が少ないという声を耳にしました。そこで、彼らが保有する豊富な写真素材と、私たちプラザクリエイトの強みであるオンデマンドプリントを組み合わせ、「ファンブック」をつくることにしたんです。

オンデマンドプリントとは、まさしく名前のとおり、デマンド(需要)に合わせてプリントできる技術。決まった版を大量に印刷する通常プリントに対し、和光プリントセンターのオンデマンドプリントなら、必要な写真を、必要な枚数、スピーディーに印刷することができます。

オンデマンドプリントの強みを活かすことで、ファンが100人いれば100通りのファンブックをつくることが可能になったんです。とあるスポーツチームとの取り組みでは、ファンブックの裏表紙を映画のエンドロールに見立てて、「編集:〇〇」とファン自身の名前を入れられるようにしているんですよ。世界にひとつだけの、オリジナルファンブック。コロナ禍でリアルイベントに行きにくい今だからこそ、ファンブックを通じて選手とのつながりを感じてほしいという想いです。
我ながら、本当にナイスアイデアだなぁと(笑)。近年は推し活という言葉もあるくらいなので、ありそうでなかった「ファンブック」は、きっと多くの人の心を掴めると思いましたね。

ユーザーは、自分の好きな写真を選んでアルバムをつくることができる。

写真を選び終わった後は、編集者として自分の名前を入力し、印刷される。

※ 画像はサンプルです。

――編集者として自分の名前を入れられるのは魅力的ですね。ファンブックは、どんなきっかけで生まれたんですか?

インスピレーションが沸いたのは、子どもの幼稚園の写真なんです。幼稚園経由で販売される、日々の保育とか遠足の様子を写したわが子の写真って、全部ほしくなっちゃうじゃないですか(笑)。その価値ってなんだろうって考えたとき、それは「自分では撮れない、大好きな人の写真」だと気づいて。大好きな人が輝いている瞬間を切り取って、手元に置いておきたい――。それは親の心理でもあり、ファンの心理でもあると思ったんです。
これまでのオンデマンドプリントで多かったのは、たとえば親が子どもの写真をアルバムにするなど、依頼者がもっている写真から素材を選んでつくるパターンでした。

しかし、松元さんの「自分では撮れない、大好きな人の写真には価値がある」という気づきをヒントに、発想を転換。いち個人のスマホやデジカメには入っていない、第三の写真素材にアクセスできるようになれば、写真プリントの可能性はもっと広がると考えたんです。

そこで思いついたのが、スポーツチームなどスターを抱える組織に働きかけること。スポーツチームが写真を提供する、ファンがお気に入りの写真を選ぶ、プラザクリエイトが印刷を担う、という座組です。発注が入ってから印刷するオンデマンドプリントなら、スポーツチームが在庫を抱えることなく始められるのもポイントだと思いました。

一筋縄ではいかない営業活動。それでもフォトブックの価値を信じ、進み続ける

――実際、お客様にファンブックを提案すると、多くの反響があったんですか?

いや、最初はまったく(笑)。早々、3つの問題に直面したんです。1つ目は、だれにどうアプローチをすればいいのか、定かじゃなかったこと。私たちとしても初の試みだったので、手探りの中でお客様にアプローチしていきました。コールドコール(これまで接点がなかった会社に、電話でアプローチする飛び込み電話営業)からはじめ、ご担当様にたどりつくだけで一苦労しましたね。

2つ目は、リソース不足だったこと。あるのは工場とアイデアと情熱だけで(笑)、なんせ構想段階のプロダクトだったので、最初はサンプルをはじめとした営業ツールが充実していなくて。通常の生産業務もやりながら、たった2人で新規営業をしていたので、時間的にも余裕がありませんでした。

3つ目は、タイミング。アプローチをしたスポーツ業界は、緊急事態宣言などで苦しいときを過ごしていました。「今はファンブックを考える余裕はない」とお断りされることも多々ありましたね。

――たくさんの問題に直面されたんですね。突破口はなんだったのでしょう?

突破口なんてないですよ。毎日20件は電話しようと目標を掲げ、地道に、愚直にやっていくのみでした。

ただ、どんなにスムーズにいかなくても心が折れなかったのは、「スターとファンをつなぐこのファンブックは、関わる人みんなをしあわせにする」という確信があったからです。ファンは推しのオリジナル写真集をつくれたら嬉しいし、スポーツチームなどの団体は写真を通じてファンエンゲージメントが高められたら嬉しい。そして、私たちプラザクリエイトは写真の新たな価値を提供できたら嬉しい。これはみんながしあわせになる取り組みだと確信していたんです。

だから、1回くらい断られただけでは全然へこたれませんでした。いつか、この価値は絶対にわかってもらえる。そう信じ、熱量をもって営業をしていましたね。

そうすると、活動開始から半年くらいのタイミングで、興味をもっていただけるお客様が出てきて。試験的なものをつくってご意見をいただいては、またブラッシュアップし、理想のファンブックの形にしていきました。

お客様とお話をする中でわかったのは、ファンの求めるものは多様化しているということ。たとえばファングッズも、1つのデザインだけではなく、10、20というバリエーションが求められているんです。私たちがつくったファンブックなら、数ある写真から選ぶ楽しさも提供でき、最終的には唯一無二のグッズを届けられる。現代のファンニーズとマッチしていると感じました。

工場ならではのスピード感と最強チームワークで、ファンブックリリースを目指す

――最初は苦戦していた営業活動ですが、少しずつ光が差してきたんですね。プロジェクト開始から1年未満でリリースを可能にできた要因はなんだと思いますか?

工場ならではの強みがあったと思います。お客様との会話の中で出てきたアイデアを、松江さんがすぐデザインに反映させ、工場で即サンプルをつくる。それをお客様のところにもっていき、お話を進めていきました。やはり、実物を見ていただいたほうがより生産的なディスカッションができますよね。
そうですね。また、私たちは2人とも生産現場をよく知っているので、「工場に確認します」っていう工程を踏まず、その場で提案やジャッジができるスピード感は強みだったかと思います。

――二人は、どのように役割分担をしているんですか?

対お客様に関しては、大きく言えば、私が夢を見せて、松江がデザインを見せるという感じです(笑)。私は以前、家電量販店で営業をしていた経験から、スペックだけ説明してもお客様には商品を買っていただけない、と学んでいて。伝えなきゃいけないのは、「この商品を買った先に待っているしあわせ」だと感じたんです。

だから、お客様にお話しするときには、一緒に取り組みをした1~2年先の未来をお伝えしています。そういう意味で、夢を見せる役割ということですね(笑)。

私はどちらかといえば、今日、明日で販売するものをお客様の意見を聞きながらデザインする役割ですかね。財務の面も含め、松元さんが全体の指揮をとってくれるので、クリエイティブの部分は私がリードしています。
いや~、松江さんがいなかったらここまで来られなかったですよ。違ったスキルを持ち合わせながら、営業という共通のバックボーンがあった2人だからこそ、ファンブックを形にすることができた。そう思ってます!

ファンブックを通じて、スポーツ選手とファンの絆を紡ぎたい

――最強タッグの二人ですね!それでは最後に、これからの展望を教えてください。

1番の目標は、ファンブックをブランド化して、認知度を向上させることです。スターとファンがつながる手段として、「ファンブック」が当たり前のように存在する世界をつくりたいですね。

直近の目標としては、全スポーツチームに、ファンブックの取り組みを一緒にしていただくことですね。オリンピックも無観客になってしまったし、今は少し、スポーツとの物理的な距離があるように感じます。そんなときこそ、今回つくった「ファンブック」が選手とファンの絆を結び続けることができれば、こんなにうれしいことはありません。

その実現に向け、社内をもっと巻き込んでいきたいですね。2人ではじめた社内スタートアッププロジェクト。これからも仲間たちと共に、もっともっと大きく育てていきます!

【編集後記:広報グループより】

フォトブックリリースまでの険しい道のりを、熱量をもって二人三脚で歩いてきた姿が印象的でした。オンデマンドプリントの強みと時代のニーズが合致して生まれた「ファンブック」。写真を選ぶ楽しさ、オーダーした本が手元にくるまでのワクワク、初めて本を開くときの緊張感、ページをめくるたびにじんわりと蘇る感動……。ファン仲間とでお互いの作品を見せあうのも楽しそう。新たな広場が生まれていく予感です!

プラザクリエイトのコアコンピタンス

全国に2拠点、自社工場を保有。工場は豊かな企画力と職人技をつなぐ独自の生産ライン。

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