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「つくる楽しさ」ともう1つの大切な価値。大人気DIYキット「つくるんです」発売のきっかけとコロナで再確認できたプロダクトの魅力

TVや雑誌等で話題、インフルエンサーも大注目の大人気DIYキットシリーズ「つくるんです®︎」。単なるDIYキットではなく、つくる楽しさや思い出に残る時間を届ける商品として認知度を上げ、2018年秋の発売以降、シリーズ累計出荷数は90万個を突破しました。今回は、つくるんです®︎が発売されたきっかけやヒットの理由、今後のビジョンについて、つくるんです部の部長・西岡明子さんにお話しいただきました。

西岡 明子(にしおか あきこ)
編集プロダクションにて、マニュアルやカタログなどのグラフィックデザインがキャリアのスタート。1997年、プラザクリエイト入社。店頭の販促物のデザインや、各種新規サービスの開発等、マルチな業務を経験。一度退職し、結婚を経て2002年に再度入社。再入社後は、法人向けプリント事業や本部企画部門でデザイン業務を担当。2018年、つくるんです®︎のリリースプロジェクトに新規立ち上げメンバーとして参加。現在はつくるんです部・部長を務めている。

体験に主軸を置き、いかにもプラザクリエイトらしい形でプロジェクトをスタート

つくるんです®︎スタートのきっかけは、2017年。大島社長が海外の展示会でロボタイム社の商品と出会ったことでした。海外製品なので、英語の表記しかない商品だったのですが、個性的なプロダクトに惚れ込んだ社長がロボタイム社と協議を重ね、その翌年の2018年、プラザクリエイトがロボタイム社製品の日本展開を担うことになりました。プラザクリエイトが日本語のパッケージを作成し、日本語の説明書を同封して、国内での宣伝・告知を実施する形です。私は商品パッケージや販促物等のデザイン担当として、この新規プロジェクトのメンバーに加わりました。

「つくるんです®︎」という独特なネーミングは、「つくることを楽しんで欲しい」という想いから生まれたものです。ロボタイム社の商品名が「Making」や「Creating」だったというわけではありません。「つくる」という体験の部分にフォーカスし、商品の価値を検討した結果、この名前が生まれました。私たちは、ただ日本販売代理店として商品を流通させるだけでなく、子どもから大人まで多くの人に、つくることが手軽に楽しめる機会を提供したいという想いを抱いていたんです。

また、ローカライズ化の取り組みの一つとして、お客様サポートを実施することも決めました。お客様サポートといっても、購入に関するサポートだけではありません。商品をつくっている時にわからないことがあれば、その工程についてをメールや電話で相談できるサポートセンターを開設したんです。「ここの、この部分の作り方がわからないんですけど」と相談できるんです。売るまでが私たちの仕事ではなく、つくる楽しさを体験してもらうことが私たちの役目だと考えていたためです。

色々な試行錯誤をしつつではありますが、私たちは「つくる楽しさを提供しよう」というコンセプトのもと、「つくるんです®︎」のプロジェクトを開始させました。プラザクリエイトは、「写真」を「モノ」としてではなく、「体験」として考え、その価値を追求してきた会社です。そういった意味では、いかにもプラザクリエイトらしい形で、つくるんです®︎のプロジェクトはスタートしましたね。

初めての展示会出展はアクシデントだらけ

2018年の秋に、東京インターナショナル・ギフト・​ショーという大きな展示会に出ることが決まりました。

つくるんです®︎ではなく、写真商品や法人向けプリントサービスが出展することを既に決めていたんですが、その中の1コーナーにつくるんです®︎も加えてもらうことになったんです。

つくるんです®︎のプロジェクトのメンバーが、外部の企業の方とコンタクトを取ったのは、この日が初めて。今までは、企画した商品を、社内の営業部に渡し、営業部から店舗へ商品が届けられて販売するという流れで、自社以外の流通はありませんでした。この展示会で初めて、外部の色々な企業の方と仕入れや取扱いに関する商談をさせていただきました。初めての展示会、初めての営業対応ということもあり、当日はてんてこ舞いでしたね。なんとか上手くいったのは、私も含め、店舗で接客や販売の経験のある社員が多かったからだと思います。

当日は、開始時間が過ぎてから準備不足が発覚したり、事前に考えたオペレーションが上手くいかなかったりと、色々なアクシデントがありました。先に挙げたこと以外にも、想定外のトラブルは多発していました。けれども、「誰でも手軽につくることを楽しめる商品」といったことだけは伝えようと、何が起きてもそれだけはどうにかしっかり伝わるようにしようと皆で頑張った結果、この日をきっかけに多くの取引がスタートしました。

思い返すと、あの状態でよく成立できたなと苦笑いです。初めての取り組みというのは、最終的には気持ち1つですよね。気持ちでなんとか乗り切りました。

このイベントをきっかけにお付き合いが始まった取引先の方との会話では、今でも時々この日の話題が出ます。「プラザさん、あの日は皆さん本当にバタバタしてましたよね。とにかく良い商品なんです!って圧がすごかったです」と、1つの笑い話になっています(笑)。

成功の鍵は「挫折ハウス」

2019年からは、いよいよ本格的に外販営業が始めていきました。積極的に出展し、2カ月に1回ぐらいは何らかの展示会に出てましたね。取引先は徐々に増え、販路は少しずつ広がっていきました。

展示会では、色々なアプローチを試し、毎回、試行錯誤していました。最も印象に残っているのは、2019年5月の日本ホビーショーです。日本ホビーショーは取引先・仕入れ先を探している企業さんだけでなく、一般のお客様も来られて、商品の販売ができるイベントです。

この時に開催したワークショップは、とてつもない大盛況でした。多数の出展ブースがある中でも、抜群の存在感を示せた理由は「挫折ハウス」です。「何それ?」って思いますよね(笑)。

実は日本ホビーショーの少し前に、パレットプラザのスタッフの方々に商品を配布し、「手先の器用な方、ご家族で工作が好きな方、サンプル制作にご協力ください」と案内を出して、皆さんにミニチュアハウスをつくってもらったんです。つくるんです®︎のような商品って、やっぱり買う前に実物が見たいじゃないですか。でも1つのミニチュアハウスを作成するのに、かかる時間は10時間以上。全国の店頭でサンプルを飾るには、私たちのチームのメンバーだけでは不可能だったんです。そこで、社内外問わず、店舗の方々にも協力を依頼したのですが、結局、つくりきれずに途中段階で返されるものが結構たまっていたんです。

返送されるミニチュアハウスがどんどん増えていく中、とある仲間から「つくりきれなかった商品、一度お返ししますね。」と電話が入りました。続けて、「挫折ハウスになって、申し訳ないです。」と(笑)。

「挫折ハウス」という言葉が印象的で、そのメンバーとは電話でしばらく盛り上がったのですが、楽しい会話の後に倉庫を見ると、沢山のつくりかけのミニチュアハウス…。当時は、この未完成の商品の山を一体どうすればいいんだろうと頭を抱え、良い解決策も浮かばなかったので、いったん現実から目を背けていました(笑)。

その数ヶ月後、日本ホビーショーの企画を考えている際に、「あの倉庫に沢山ある、つくりかけのミニチュアハウスを持って行こう」というアイデアが生まれました。

余っている材料の中の、植木鉢を1つつくるだとか、テーブルとイスを1セットだけつくるとか、そういった形で簡易的な制作体験ができる状態を用意したんです。商品開封直後の何もない状態でもなく、完成した状態でもなく、つくりかけの状態。そこに数分でできるアイテムをつくり、加える。実はこの体験こそ、商品を初めて見る方々が求めていたものでした。

やってみたい気持ちがあるけど、完成させられるか心配な人や、自分でも作れるのか不安な人に大ウケし、これが予想外の大盛況となりました。私たちとしても、制作前の商品や完成品を見てもらうだけでなく、「つくる体験」を多くの人にお届けできたので、目指していた形はこれだったなと、展示会出展のスタイルを確立できた感がありました。

制作体験は順番待ちに。大盛況だった展示会の様子。

数分で制作できるミニチュアハウスのパーツを小分けにし、参加者に提供。

日本ホビーショーでは、私たちのチームにとって「初めて一般のお客様に直接販売を行った」という点でも大きな意義があったと思います。みんなでチラシを配ったり、呼び込みして集客したりなんかもして。展示会終了の30分前ぐらいになると、「もうすぐ終了です!ぜひ最後にちょっとつくってみてください」と、必死で追い込みもかけましたね(笑)。

みんなの頑張りもあって、とても多くの人につくるんです®︎を体験してもらえました。最終的には事前に設定していた100万円の売上目標も達成できました。当日は、ワークショップが盛り上がって、商品も売れて、という大盛況ぶりだったので、その様子を見た多数の仕入れ担当さんにも興味を持っていただけました。まさにライブで営業ができている感じでした。

PCに向かって色々な作業をするだけでなく、こうした現場感を知ることは大切ですよね。もちろん展示会での販売なので、通常の店舗での販売とは異なるとは思いますが、店舗で販売をされている皆さんの気持ちや苦労を知れたことは、とても大切な経験でした。

急激に増加した需要のボリュームに対応しきれず、欠品状態に

登場して日が浅い商品ながら、拡大の波に乗り始めてきた実感はありました。商品の販売量は右肩上がりに増え、夏休みやクリスマス等のシーズンには、さらに大きく需要が高まるようになっていました。そして、一番の大きな波は、2020年の春です。コロナ禍の影響による巣ごもり需要です。おうちにいる時間が増えたことにより、飛躍的に販売量が増加しました。

けれども実は、急激に増加した需要のボリュームに対応しきれず、しばらくの間、商品を欠品させてしまうことになりました。人気情報番組で取り上げていただいたのも手伝って、爆発的に需要が増加し、ついには商品の補充が間に合わなくなりました。

通常であれば、オーダーが増えても相応の対応ができるのですが、春節(中華圏の旧正月。1週間ほど休暇を取る企業が多い時期)による、製造元の企業活動の停止に加え、コロナの影響による船便の規制により、流通のコントロールができなくなっていたんです。

需要があるのにスムーズに提供できないという状況は、とても辛かったです。コロナウイルスの影響が深刻化し、外出自粛になり、多くの人が不安でさみしい日々を送っている中です。そんな中で、つくるんです®︎のことを知り、「これならおうちで手軽に楽しめそう」と興味を持ってくれた方に商品がお届けできないことは、本当に心苦しかったです。

ただ同時に、私たちにとっては、つくるんです®︎の価値を改めて見直す良い機会になりました。空白の期間に、ひたすら商品の意義を問い直していたんです。

コロナ禍で改めて理解できた「つくるんです®︎」の価値

人気番組に取り上げていただいたとはいえ、どうしてこれほどまで急激に販売量が増加したのか、その理由の本質を考えていました。商品を知るきっかけがあっても、欲しくないものや必要じゃないものは買わないですよね。どこに価値を感じてくれたんだろう、多くの人が何でつくるんです®︎を欲しいと思ってくれたんだろうと、頭の中で自分自身に色々な質問繰り返していましたが、すぐには納得のいく答えを出すことが出来ませんでした。ただ、全く答えが浮かばないと言うよりは、なんとなくイメージはあるけど、ぼんやりしていて上手く言葉にできないという感じです。すごくモヤモヤしていました。

そんな中でも、日々の仕事は続きます。ある朝、いつものようにスマホアプリでTwitterを開き、「#つくるんです」と検索し、評判の確認をしていました。つくるんです®︎って、制作したユーザーさんが、写真や感想をアップしてくれているんですよね。そしてその評判を確認している時間にふと気づきました。「いつも見ているこの画面に答えがあるじゃないか!」と。

コロナによる外出自粛で、多くの人がつくるんです®︎に求めていたのは、おうちで楽しめる時間だけじゃなかったんです。「繋がりのきっかけ」も求めていたんです。つくるんです®︎には、「楽しくつくる」だけでなく「つくったものを誰かに見せる」そして、そこから「コミュニケーションが生まれる」という価値があることです。

つくるんです®︎は、インテリアとしてのクオリティも高く、緻密・精巧で、とても写真映えする商品です。つくった後は、誰かに見せたくなる商品です。そして見せられた側の多くの人は驚きます。「なにこれ!?つくったの!?」って。そんな楽しいコミュニケーションが生まれる商品なんです。リアルなら実物を、オンラインなら写真を見せて、嬉しいリアクションが貰える商品です。素敵な会話が生まれる商品なんです。

緊急事態宣言の期間は、多くの人にとって精神的にかなり辛い期間になりました。生活の全てが変化し、これからどうなっていくかわからない不安があり、そして大切な人とも会えない、とてもさみしい期間でした。

つくるんです®︎は、つくる楽しさ体験できるだけなく、そういった中でも人との繋がりを生み出すことができる商品だったんです。その価値について、これまで全く気付いていなかったというわけではないんですが、ぼんやりとしていて上手く言葉にまとめることができませんでした。このように言語化できるようになったのは、コロナ禍の影響や外出自粛、そして欠品による歯痒い時期があったからです。

2021年、新商品をどんどんリリース

今年はほぼ毎月新作をリリースしています。最新商品としては、国立競技場(杜のスタジアム)のウッドパズルですね。ミニチュア版としてリアルさを追求するために、細部までしっかりこだわっています。例えば、客席の特徴であるグラデーション配色を再現するために、レーザーの焼き加減を調整したり、競技場に光を入れ込むためのトップライトと呼ばれる部分を半透明にしたりと、ミニチュアとして簡素化した上でどう表現するか、かなり工夫を施しました。

国立競技場は、競技者だけではなく、競技を応援する方や競技を見に行けなかった方等、多くの方々の思い出に残る場所ですよね。様々な記憶や想いを込めながらこのウッドパズルをつくって欲しいと思っています。

先日第2弾をリリースした、未来屋書店さんで先行販売中の「ポケバグ」も大好評。クワガタやセミ等、夏らしい虫をつくれます。昆虫図鑑がセットで付いていたり、4つを買うとつくることができるシークレットパズルもあったりと、楽しい+αを加えて展開しています。

今後も、様々な新作リリースを予定していて、今年の夏にはドラムセット、テナーサックス、アコーディオン、チェロなどのウッドパズルをリリースします。とってもかわいい楽器シリーズです。このシリーズには、今までになかった販路、例えばコンサートホールの売店といった音楽に関連するような場所でも、つくるんです®︎を手にとっていただけるよう、アプローチしていきたいと考えています。

また、さらにファンを獲得していくためには、公式サイトをさらに魅力的にしていきたいです。商品の魅力が伝わりやすいYoutube動画にも、より力を入れていきたいですね。

つくるんです®︎公式チャンネル。商品の魅力や制作時のポイントを楽しく紹介している。

※ つくるんです®︎のウッドパズル「国立競技場」は、公式ライセンス商品です。©️JSC

保育園から介護施設まで着実に広がる、つくるんです®︎という広場

新作リリースに加えて、昨年から取り組み始めたワークショップ企画も今後さらに加速させていきます。物を売るだけじゃなく、つくることに不安がある方の背中を押す意味も込めて、一緒につくる場を提供したいためです。

ワークショップの開催にあたっては、「決められた順番通りに準備すれば、誰でも、どこにいても、つくるんです®︎のワークショップができる」というパッケージをつくってきました。私たちの人手も限られている中で、どうすれば実現できるかを考えた結果、辿り着いた形が「自社のスタッフが講師をしない」という方法です。多くの方が講師を務めることができれば、全国の様々な場所でワークショップを開催することができます。

昨年実際に保育園でワークショップを開催してもらったところ、簡単なキットであれば、お子さんの集中力が続く間に制作することもできました。保育園の皆さんからも「とても有意義で楽しい時間になった」と大好評でした。

けれども実は、介護施設でも同じことができると思い開催したところ、その企画に関しては失敗でした。介護施設にいらっしゃる高齢の方には、パーツを付ける時の力が足りなかったんです。検討や事前の確認が甘かったですね…。

保育園での実施は大成功。子どもたちの笑顔が沢山生まれた。

介護施設では、失敗。さらに工夫を重ねないと、実現は難しいということがわかった。

新しい取り組みに、失敗は付きものです。失敗しても、得られた経験は無駄にはなりません。今後も、トライ&エラーを繰り返しながら、多くの方が楽しめる企画をどんどん検討し、実施していきたいと考えています。

お客様や販売店の方からの意見に耳を傾け、思い出に残る商品を企画したい

つくるんです®︎を通して、子どもから大人まで、多くの方の心を一つにするお手伝いができれば嬉しい限りです。そのために、商品を楽しんでくださったお客様や商品を販売してくれている店舗の方々からの声をもとに、色々な改良を重ね、より価値のある商品にしていきたいですね。

今後は、つくる体験の価値を様々な形で提供しつつ、プラザクリエイトという会社の1つの軸でもある「写真」とを掛け合わせる等、色々な楽しい企画を実施していきたいと考えています。

つくるんです®️

つくる楽しさ一生モン。つくるんです®️の公式Webサイト。

つくるんです®️公式サイト

ウッドパズル 国立競技場

日本が誇る建築物をウッドパズル化。大注目の国立競技場。

国立競技場 商品ページ

ポケバグ

付属されている⾍図鑑を後ろポケットに⼊れて昆⾍採集に出かけよう。

ポケバグ特設ページ